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1985家族の実例
1985 FAMILY

CASE04

3反の土地に築150年の古民家 自然と緩やかに共存する鹿児島県Yさんの大改修物件

太陽も、風も、ヤギも、チャボも・・自然にあるものを大切に受け取りながら大好きな畑・お庭を楽しむ暮らし
1985 ACTION NAVI47%

1985家族4軒目のご紹介は鹿児島県日置市のYさんご家族。
初めての改修物件のご紹介です。
3反(約1000坪!)の土地を購入し、そこに建っていた築150年以上の古屋を大改修したお住まいは
そこにある自然を上手に活用して、無理のない省エネを達成する豊かな暮らしの器でした。

Yさんご家族について

いまは定年されたご夫婦と80代のお母様の3人暮らし。
3人のお子様が独立され、定年後は畑でも・・・と思っていた所、古屋付きの3反(約1000坪)の土地をみつけ購入することに。 当初古屋は活用せず、元々住んでいた家から畑のために訪れるつもりでしたが、お母様が車椅子生活を余儀なくされることになり、元の家は段差も多く、冬は寒かったということもあり、古屋を大改修して活用することに決めたそうです。

最も古い記録で明治元年にはここに建っていたという古屋
これが改修して使えるとは到底思えないという状態でした

建物の状態が状態だっただけに、設計を担当した暮らし省エネマイスターの村田さんが何度も足を運び、構造材の状態を確認。古屋を解体して新築を建てるという選択肢もあったそうですが、最終的に車椅子のお母様も生活できるようバリアフリー工事も施して大改修が行われました。

建物・敷地のポイント

場所は鹿児島県日置市の海近く。永吉川が敷地の北側を流れ、すぐ近くを国道が通っていますが穏やかな空気の流れる場所です。 元々建物の南側は畑になっており、日当たり良好。この太陽と上手に付き合うために、南側には大きな掃き出し窓が設置されています。この掃き出し窓は車椅子のお母様の家への出入り口にもなっています。

南側には大きな掃き出し窓。建物・風景に上手に溶け込むスロープでお母様の移動も楽に。夏にはよしずを設置できる工夫が施されている
取材した日は生憎の雨模様でしたが、南と東側の2面採光で部屋の中は明るい

リビングでの工夫

取材に訪れたのは1月。暖冬と言えど、この日は久しぶりにダウンを着たくなるような寒さ。それでもリビングでは薪ストーブが焚かれ、足元まで柔らかく暖められていました。薪ストーブの力だけに頼らず、暖められた空気が逃げないよう使っていない部屋の扉を閉めたり、夕方早くにはハニカムサーモスクリーンを下ろすなど、細やかな調節も行われていました。(実際、伺った時はリビングに接する部屋の扉は全て閉じられていました)

ちなみに薪は、以前は木の切り出しを手伝う代わりに分けてもらったりしていたそうですが、最近は近くの造園屋さんや椎茸農家さんから譲ってもらっているそう。譲ってもらうというよりは、処分するのも手間だからYさん家に降ろしていく・・・という状況らしく、3年分ぐらいの備蓄がたっぷり。焚きつけの細かい木は家具屋さんの余りの材料。よく薪ストーブは薪を買うと高いから・・というお話を聞きますが、こういうお話を聞くと、まわりの方とのコミュニケーションを大切にし、地域の中で生きているということを少し意識すると、色々うまく循環していくのだなぁと感じました。

また、夏は隣を流れる川からの川風を最大限活用するため、開けられる窓は全て開けるという徹底ぶり。そのため、エアコンをつけるのはひと夏に2~3日だそうです。(日置市は最高気温30~36℃になる、決して涼しいとは言えない地域です)

冬の暖房は薪ストーブ。暖房だけでなく調理にも活用されている
お家で飼われているチャボの卵で作られたプリン!絶品!※本文とは関係ありません

家電の工夫

どんな事を伺っても「特別なことはしてないのよね・・・」とおっしゃる奥様。実際1985家族を取材していると、必ずと言っていいほどこの言葉を耳にします。Yさんも例外ではなく、コーヒー豆を挽くのも電動ミル、何かを我慢されている様子はありません。それでも、1つだけ心がけているのは「熱を出す家電(ドライヤー・アイロン)は心して使う」だそうです。「使う」けれども「心して」というのがキーワードですね。少し意識するだけで、設定温度が下がったり、使い時間が短くなって省エネに繋がります。

また、Yさんのお宅には太陽光発電が設置されています。光熱費の為とか、省エネの為というわけではなく「降ってくるものはもったいないから」という理由。日頃1000坪の土地と向き合い、自然と対峙しているYさんらしい言葉だなと思いました。こんな、自分らしいスタイルが、設備選びにも生かされ、最終的には自分の家も、地域も豊かなエネルギー社会を作っていくという、本当の自然循環を見た気がします。

給湯の工夫

Yさんのお宅の屋根には太陽光発電パネルと、太陽熱温水器のパネルが載っています。日射取得ができる大きな屋根の家なので、敷地条件を活かした理想的な設備と言えます。以前住まわれていた家でも太陽熱温水器を使われていたそうで、新しい家でも採用されたそうです。太陽熱温水器、一度使うと病みつきになる省エネの必須アイテムです。


Yさんのアクションナビはこちら

エネルギー合計消費量の結果
売電分を除いても、同じ地域・同じ家族人数の平均の47%しかエネルギーを使っていない
月ごとのエネルギー消費量
季節問わず、生活全体にエネルギーを使わないクセが行き渡っているので、夏・冬・中間期問わず平均の半分程度になっている

省エネに関するアンケートから

1985アクションナビに入力してみての感想・入力後に変わったことはありますか?
介護をしている関係で日によっては朝6時から延々と昼頃まで洗濯機を使ったり、調理も長く煮込んだりオーブンを使ったりで、光熱費は一般家庭並かそれ以上・・・と思っていた。入力してみて「えっ?」とその数値にビックリ。
できればもっとエネルギー使用を減らせるのではと思うが、具体的な努力はまだしていない。
省エネに向かって今後しようと思っていることはありますか?
季節で日差しを入れたり遮ったりすることや、自然の風通りなどを利用することで無理なく快適な生活ができていると思います。家の周りの環境整備(樹木による木陰や防風など)をもっとしてゆきたい。
詳細データ
所在地鹿児島県日置市
構造木造在来工法 2階建
給湯エコジョーズ 太陽熱給湯システム
暖房薪ストーブ
冷房メイン:扇風機 補助:クーラー
余談
小水力発電所を見学しました

今回取材させて頂いたYさんは、電力自由化の後、電気を「ひおき地域エネルギー株式会社」から購入しています。ひおき地域エネルギーは2015年10月に日置市にある企業・日置市・地元金融機関によってエネルギーの地産地消を目指し設立されました。Y邸の隣を流れる永吉川の水力を利用した小水力発電、市役所庁舎や病院、運動公園での太陽光発電を行っていますが、この内の小水力発電施設を見学させて頂きました。 日置市は川の高低差があまりなく、施設の設置場所の選定に苦労されたこと、発電装置に川からの砂、農作業で排出された草等が入ると故障の原因になるので、毎日2回手作業でゴミを取り除いていることなど、現地の生の声を聞くことができました。 人口減少が進む地方部で、地域エネルギー・地域経済を循環させるためこうした取り組みが進められています。ぜひ一度お近くの電気事業者を訪ねてみてはいかがでしょうか?
ひおき地域エネルギー株式会社

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